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アポトーシス誘導作用

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 フコイダンの抗がん作用や抗腫瘍作用を説明するうえで、頻繁に使われているのが「アポトーシス誘導作用」という用語です。


 「アポトーシス」というのは、細胞が自然に消滅する現象のことを意味しています。このアポトーシス作用というのは聞き慣れない用語だと思いますが、私たち人間を含め殆どの生物の細胞に元々備わっているもので、新陳代謝や成長するために必要となる非常に大切な機能です。


 たとえば、オタマジャクシが成長して蛙になる際には、尻尾が消滅します。これは細胞が変型しているのではなく、成長に不必要となった細胞が、遺伝子に予めプログラミングされたプロセスに従って消滅しているのです。この例は、アポトーシス作用を説明するうえで、最もよく引き合いに出されるものです。私たちの体を構成している約60兆個の細胞も、決められた寿命に従って古い細胞が新しい細胞へと置き換わります。これが「新陳代謝」であり、私たちは古い細胞のアポトーシスによる死と、新しい細胞の誕生の繰り返しによって成長し、生命を維持しています。


 このアポトーシス作用が起こると、細胞膜と細胞内の核に変化が生じ細胞の大きさが縮小し始めます。そして核の断片化が起こった結果、細胞はくびれてちぎれ小体化し、最後はマクロファージ(貪食細胞とも呼ばれる白血球のひとつ)に取り込まれて除去されます。このような過程を経て細胞が消失します。


 正常な細胞が何らかの要因で突然変異を起こしたものである「ガン細胞」は、アポトーシス機能が働きません。したがって、自ら消滅することなく細胞分裂を繰り返し増殖していきます。また、近くのリンパ節や血管を通して他の部位に飛び火(転移)していきます。現在行われている癌治療では、こうした細胞を外科手術によって取り除くか、抗がん剤や放射線などの化学療法によって徹底的に力によって叩き潰すということが行われています。手術によってガン細胞を1個残らず摘出できるとは限らず、また最新の化学療法ではかなりスポット的に作用できるようになってきたとはいえ、正常細胞にまでその被害が及んでしまうことは避けようがありません。その結果、脱毛や食欲減退、免疫力の低下といった副作用が現れる可能性が高くなります。


 フコイダンが注目されているのは、アポトーシス機能を失ったガン細胞に誘いかけ、アポトーシスへと導くと考えられているからです。その根拠は、複数の基礎実験により確認されており、多数報告されています(そのうちのひとつは、こちら)。基本的には、培養したヒトのガン細胞にフコイダンを作用させ、一定時間経過後、ガン細胞のDNA(遺伝子)に断片化がどの程度起きているかを電気泳動法という方法で調べるというものです。この実験の結果、正常細胞には影響を与えず、癌細胞にだけ核の断片化が起きていることが明確になり、フコイダンが癌細胞のアポトーシスを誘導していることが確かめられたのです。


 フコイダンによってガン細胞がアポトーシスを起こすメカニズムについては、完全には解明されていませんが、次のように2つのものが考えられています。そのひとつは、フコイダンが細胞表面にある自滅シグナルを発するスイッチを押すことで、細胞核の断片化が起こり自滅に至るとするものです。そしてもうひとつは、フコイダンが細胞膜に穴をあけて、そこから「パーフォリン」という顆粒を注入し細胞核を破裂させて自滅に追い込むというものです。現時点では前者のメカニズムによるものが優位であると推定されています。

         

がんとフコイダン

がん細胞に対するフコイダンの作用メカニズムについては、完全に解明されているわけではありませんが、現時点のところ「アポトーシス誘導作用」「免疫力増強作用」「血管新生抑制作用」の3つと考えられています。

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